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世界中のコンサルティング業界で、固有名詞を言わずに、かザ・ファームファームアと言えば、それは「マッキンゼー」を意味します。

これは、世界中の産業界あるいは政府系機関で働く一流ビジネスマンの間では、使われている用法です。 つまり、「コンサルティング・ファームと言えば、「マッキンゼー」というのは、世界での共通認識なのです。
このようなブランド、あるいは神話とでも言うべき高い評価は、どのようにして生まれ、維持されているのでしょうか?現在、「マッキンゼー」では、世界84のオフィスで7000名以上のプロフェッショナルが活動していますが、決して世界最大のコンサルティング・ファームではありません。 コンサルタントの数や収入といった規模では、アクセンチユアなどのほうがはるかに大きいのです。
最良・最高のコンサルティング・ファームとしての「マッキンゼー」の名声が高まった背景にはいくつかの要因が考えられます。 一つ目は、第1章でもお話しした「マッキンゼー・マフィア」とも「黄金の人脈」とまず、も称せられる人的なつながりです。
アメリカでは、大手企業に対して「マッキンゼー」がコンサルテーシヨンを行い、「マッキンゼー」のコンサルタントがその企業の役員として招聴される、という例が多く見られます。 企業経営者になったOBすなわち、アルマナイ(卒業生)は、古巣である「マッキンゼー」に再びコンサルティングを依頼するという例も多いのです。
こうして、経済界を中心に、政治や学者の世界に、強力なネットワークが築かれていきました。 「マッキンゼー」は、世界中の大手企業の経営者を集めたコンファレンスなどを多く開催し、そうした席にゲストスピーカーとして、政府高官や有名学者を呼んだりもしますが、こうしたことも「黄金の人脈」を使えば、たやすいことなのです。
一つ目の要因は、「論理的な分析と世界規模でのナレッジ(経験と智恵)」です。 世界中のさまざまな業種・組織のさまざまな問題について、個別に解決していくという実務的な能力だけではなく、それを理論化し、普遍的なナレッジ(智恵・知識)にまで昇華することに熱心であることが挙げられます。
マッキンゼーでは、個別のコンサルティングから得られた知見は、全世界共通のデ-タベースに蓄積されます。 それをナレッジ・マネージャーと呼ばれる「智恵の整理人」が、図表ロのような業種別および機能別に整理します。
コンサルタントは、実際のプロジェクトを通じて、自分のナレッジを高めていきますが、このときもこの「業種」と「機能」のマトリックスが意識されます。 すなわち、A氏は、「業種」では金融とIT業界に詳しく、「機能」では戦略と組織に精通している、といった具合にプロとしての得意分野を作っていくのです。
また、個々のプロジェクトで行き詰まったり、問題解決のヒントが欲しくなったりした場合は、この「業種」と「機能」のマトリックスを手がかりに社内のデータベースに質問を書き込むと、世界中の事務所に散らばっているそのテーマに知見を持ったコンサルタントから、さまざまな回答が寄せられます。 質問者に役に立つ回答をしたコンサルタントは、業績評価上ポイントとなり、報酬面でも報われる、という情報の共有化を促すインセンテイブ制度もあります。
このようにして、「マッキンゼー」では、「ナレッジ(智恵・知識)の共有」をファームの強みとして、強く認識しています。 また同社では、さまざまな研究活動や市場調査を行っています。
これらの活動は、研究グループによって、世界規模で行われています。 こうした「調査」や「研究」と、コンサル実務における「経験」から得られた「知見」が融合され、「理論」や「フレームワーク」に高められる。

そしてそれが、現場の問題解決に利用され、さらに進化し、新たな「理論」を生んでいくそういうサイクルを確立している「マッキンゼー」にコンサルを依頼すれば、常に、世界水準の最先端かつ最高の結論を提唱してもらえるーそのような一種の神話的とも言えるイメージが、「マッキンゼー」にはあるのです。 しかし、筆者は、「マッキンゼー」が「マッキンゼー」たるゆえん、ほかのコンサルティング・ファームと決定的に違う理由は、これらとはほかのところにあると考えています。
その三つ目にして、最大の特徴は、「アロガント(倣慢)とも言えるカルチャー」です。 少し解説してみましょう。
一般に企業が「コンサルティング・ファーム」を雇うときは、その時点で、すでに一定の結果を想定しているケースがあります。 つまり、「こういう戦略を打ち出したいのだけど、社内の抵抗もあり、外部のお墨付きが欲しい」あるいは、「恐らくこの戦略でいけると思うが、見落としゃ漏れがないか、外部コンサルにチェックさせたい」というニーズが顧客サイドにあることが多いのです。
一般の「コンサルティング・ファーム」であれば、こうした場合、顧客意向に沿った結論を導き出だそうとする傾向が見られます。 「コンサルティング・ファーム」といっても営利組織ですから、顧客の意向を尊重し、その望む答えを出そうとすることは、ある意味では当然の行動と言えます。
しかし、「マッキンゼー」は違います。 彼らは、クライアント(顧客)におもねることがありません。
「マッキンゼー」というファームは、自分たちに絶対というほどの自信を持っています。 あるいは、そのように振る舞います。
「自分たちは、最良にして最高の頭脳を持つ(ベスト&ブライテスト「そして、世界でもっとも多くのプロジェクトに取り組み、多くの経験を積んでいる」「したがって、われわれの結論は、考え抜かれ、実績に裏打ちされた最良のものであり、それが顧客の意向と合わなくても、それを主張し続ける」これが、「マッキンゼー」に見られる傾向です。 さらに言えば、彼らが、「顧客と対立することは何でもない。
むしろ、経営者に耳の痛いこと、経営者の意に沿わないことを指摘することこそ、自分たちの提供価値である」と自己規定しているように筆者には思えるのです。 これに関する象徴的な場面が描写されています。

それは、i開発のきわめて初期段階で、サービスの骨格を作り始めた時点でのプロジェクト・メンバー間の会話から始まる場面です(同書五三ページ)。 「マッキンゼーさんはいいですよね。
むずかしいことを喋るだけで破格のギャラをもらい、それでいて実際に現場でドロドロになるのは安い給料のこちらなんだから」の中に、会議が終わったあと、メンバーの一人がこんなことを言っている。 「僕はあなたたちが大嫌いだから」面と向かってこんな信じられないような言葉も飛び出した「マッキンゼー」のコンサルタントに向かい、Nの若手社員が毒づいたことに対して、Mさんは反応し、それに対して、「マッキンゼー」がさらに反応していきます(同書五4ページ)。
「大変ですよねえ」私はマッキンゼーの労をねぎらう意味でこう言った。 返ってきた言葉に、私は、の社員の言葉以上に驚いた。
「いやあ、僕らは嫌われ役なんですよ」彼らは、の連中の言葉にまったく動じていないのだ。 余裕がある振りをしているのか、実際に余裕があるのか、笑顔さえ浮かべている。
この神経はどこから来ているのだろうか。
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